「新婚旅行の思い出 〜バンジージャンプ篇〜」
ソフトウェア技術部第2開発課 入社3年目 男性
 
我々の挙式

は、ニュージーランドで挙げました。
ニュージーランドと言えば、バンジージャンプ。バンジージャンプと言えば、ニュージーランド。というくらい、観光名所のひとつになっているのですが、ツアーの中に、バンジーがあることが判明した時点で妻は、
「バンジー、やるわよっ!」
と、息巻いており、挙式についでの重要なイベントとなりました。もちろん、この時点で、本当にやるとは思いませんでした。そして、バンジージャンプの地点に行ったその日。小雨降りしきる中、渓谷に架かります木製の橋をガイドさんが紹介。
「ここが有名なバンジージャンプの橋です。飛びたい方は申してください」
ガイドさんの表情を見る限り、『飛ぶわけないよね』と、言わんばかりの表情。さっさと案内して、次、行こうかというオーラが全開。それを打ち破る妻の一言。
「飛びます」
ガイドさんの目が、カッと、開いたのを私は見逃しませんでした。
「ほ、本当に飛ぶんですか?」
「ええ、飛びますよ」
妻は、荷物を私に預け始めました。
「旦那さんは?」「飛びません!」
私は力の限りガイドさんに拒否しました。お金を払ってまでこんなことはしたくないです!!
妻は、驚くガイドさんを尻目に、さっさと受付カウンターに行きます。簡単な問診を受け、意気揚々とジャンプ場に向かいます。ジャンプするところは、展望台があり、全ての様子を見ることができます。
ビデオカメラを携え、展望台に行った時には、マッチョなお兄さんが雄たけびを上げ、豪快に飛んだところでした。高さは約45メートル強。リクエストによって、上半身、全身を下に流れている河に沈めることができます。お兄さんは上半身を沈めました。展望台からは拍手が沸き起こってます。
さて、次は誰だ?という感じで、ジャンプ台に観客の視線が注がれます。両足を固定し、えっちら、おっちら歩いてきたのは、我らが妻。観客は、女性と分かるや否や、冷やかしの拍手が起きました。隣の白人の会話を聞くと、
「あの女性は絶対に飛べない。棄権する」
と言っていました。周りもそんな雰囲気。ジャンプ台に注目しますと、係員からジャンプの仕方を教わっています。説明が終了すると、更に前に進み、つま先の部分は既に空中となっています。展望台は異様な盛り上がり。係員がカウントダウンを始めます。
 
3、2、1、バンジーッ!!

妻は躊躇することなく飛びました。このとき、隣にいた白人が「what’s!?」と、言って、驚いていました。妻は悲鳴とも、雄たけびとも思える声を出しながら、自由落下を続け、バンジーロープが伸びきった所でロープが鞭の様にしなり、先端の妻が勢い良く振られます。
「いやっはっはっはっは〜!いやぁ〜!!」
妻の声が渓谷に響き渡ります。その様子を見ていた展望台の人たちは口々に
『クレイジー』
と、呟いていました。次の目的地に行く時、ガイドさんは「女性で躊躇なく飛んだ人は初めてです。なかなか飛べないものなんですがね」褒めているんだかどうだか分からない言い方で、率直な感想を言ってくれました。
尚、日本のテレビ番組が撮影に来た時、某男性タレントは2時間もジャンプ台で泣いていたそうです。
これを機会に、バンジーに目覚めた妻は、最終観光地のオークランドにあります、約120メートルのタワーからのバンジーに挑戦しようとしていましたが、ここに着いた時には、受付は終了しており、非常に悔しがっておりました。
「いやぁ〜でも、バンジーやると人生変わるよ〜」
余程気持ちよかったのか、妻はそう言います。
「あなたもやったら?度胸が付くわよ」「結構です」
「腰抜け!」
そして帰国後に、妻が友人達に自慢すると共に、私の腰抜けっぷりを披露するのでした。とてつもなく根性がある妻。流石は九州人だと、この旅で改めて感じるのでありました。
 


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